雨乞山には夕日が沈んで

細く長く、地元の昔話を読んだり実際に見に行ったりしています

天行寺山のこと

中島町笠師と志賀町矢田に跨る山。
頂上は137メートル。
山頂には延命地蔵が祀られている。
子供の頃、山頂に行ったと祖父いわく、確かに小さな祠があったそうだ。

近くにある、志賀町矢田へと抜ける峠を天行寺峠という。
そこには天狗が住んでいたと言われ、木の上から砂をまいたりしていたという話が有る。
ちなみにこの天狗隠れ蓑を騙し取られている。

しばらくしてから行ってみた
天狗が出たっていう天行寺峠を行ってきた - 雨乞山には夕日が沈んで

松根城に行ってきた

国道359号線を行くと、県境近くに標識が見えて来る松根城。
古くは木曽義仲が使ったという説もあり、南北朝の騒乱や戦国時代の一向一揆・前田氏と佐々氏の争いで使われ、一国一城令の後に使われなくなった城です。

国道に標識があることからも、以前から気にはなっていたのですが、
用事が終わったあと、なんとなくふらふらと行って参りました。
思い立ったまま、Tシャツ・ジーンズ・スニーカーという格好行ったのはいいのですが、
途中でクマ出没のニュースのことを思い出して一人青ざめたりしていたので、
山城を行くには装備が甘かったですね。これは猛省しなくては。

以下に写真を載せていますが、後で看板の文字を見返せるようにデータ量が大きい物を使っています。

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『四不語録』のこと

浅香久敬(山井)*1が著した奇談集のこと。

作者の浅香久敬は六百石拝領の加賀藩士であり、加賀藩四代藩主*2前田綱紀*3に仕える。
『四不語録』の他にも『三日月の日記』『能登浦伝』などの紀行文、江戸時代最大級の徒然草注釈書『徒然草諸抄大成』も残している。
藩士としては能登・京都への滞在、綱紀の参勤交代に随行などしている。

『四不語録』は朝香久敬が60代の頃に書かれたとされている。
国書総目録』によると加越能文庫にあるとされているが、加越能文庫には現存はしない。*4
元々はかなりの数の話が書かれていたそうだが、今では散逸し怪談話の部分しか伺えず、それも写本でしか残っていない。

【関連】
私のための四不語録のタイトルメモ - 雨乞山には夕日が沈んで

【参考】*5
川平 敏文(2000)「浅香久敬--元禄加賀藩士の前半生」『語文研究 (90)』pp 1-15.九州大学国語国文学
川平 敏文(2001)「浅香久敬--元禄加賀藩士の後半生」『語文研究 (91)』pp 22-37.九州大学国語国文学

*1:と書かれている本もある。

*2:加賀前田家としては五代目となる。幕藩体制が成立する前に前田利家公亡くなってるのに「加賀藩五代」とか書かれたりする。何なの?藩主も追号できるの?

*3:学問好きで東寺百合文書に桐箱を贈ったりしている。お生まれになった時に父・光高公は喜びの歌を詠んだり参勤交代で猛スピードを出したと残されている。他にも兼六園の元になった庭園を作ったのもこの方。

*4:玉川図書館行った。確認した。がっかりした。

*5:参考文献の書き方ってこうだっけ?

私のための三州奇談のタイトルメモ

またまた私のためのまとめ記事。
『三州奇談』のタイトル一覧と、舞台になった場所のメモです。
大体加賀から順に北上しているのだけど、タイトルだけじゃどこが舞台か判りにくいんですもの。
旧字体は面倒なので新字体を使ってます。
※自信ないものは「?」をつけたりしています。
※まだ読み終えていないので、お話読んで間違いに気づき次第訂正。
※舞台が複数あるものは並列したり、ざっくりと書いたり。

巻之一

白山の霊妙(白山)
大日山の怪(大日山*1
吉崎の逃火(加賀市吉崎町と現福井県あわら市吉崎)
菅谷の巨蟒(加賀市山中温泉菅谷町)
火光断絶の刀(加賀市大聖寺神明町
砥蔵の霊風(加賀市山中温泉坂下町 ?)
小野の老翁(加賀市大聖寺畑町)
蘇氏有験(加賀市大聖寺地区)
蛙還呑蛇(加賀市大聖寺新町と福田町に掛かる福田橋の近く)
中代の若狐(加賀市中代町)
石坂の瀑布(加賀市熊坂町
面長の妖女(加賀市大聖寺城下地域)
敷地馬塚(加賀市大聖寺敷地町、菅生石部神社)
菅谷の鬼婦(加賀市菅谷町)
傀儡有気(加賀市山中温泉薬師町)
山中の隕石(山中温泉
温泉の馬妖(加賀市山中温泉薬師町)
囲炉裏の茸(加賀市山中温泉 現湯の本町か?)
山代の蜈蚣(加賀市山代温泉
鶴瀧の記事(加賀市山中温泉荒谷町 鶴ヶ滝)
那谷の秋風(小松市那谷町 那谷寺と小松市細工町 本蓮寺)
家狸の風流(小松城下地域)

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どこまで本当なのか分からない昔話

父からか聞いた話なので、与太話なのかどこまで本当なのかわからない昔話。
父から聞いただけなので資料などは全く調べていません。

その①
私の地元では氏子区域と小学校区というのが大体一致するのですが、一つだけ小学校の地区は一緒だけれども氏神神社が違うという地域があります。
何でもその昔、隣り合った神社の間で婚礼があり、その地域が結納品とされたためだとか。

その②
古代と呼ばれるその昔から、異国からの玄関口だった某所。
千年以上経った今でもたまーにエキゾチックな顔立ちの方が生まれてくるのは、古代の大陸の血が現れるからだとかなんだとか。

ヒヒ退治のこと

ここでの狒々(ヒヒ)は実在の動物のほうではなく、大猿に似た妖怪のことである。

珠洲の片岩のお話。
毎年2月5日の夕方になると、若い娘がいる家に白い矢が一本突き刺さった。
矢のあたった家は、桧で作った箱に娘を入れ、次の日神社の奥に人身御供として追ていたのだった。
ある年、素平太という侍が村にやってきた。
「儂が身代わりになろう。儂が合図をしたら、皆でお堂を力いっぱいバチで叩いてくれ」
2月6日の夜、魔物が現れた。
村の男が力いっぱいお堂を叩いたので、魔物が驚いて飛び出したところを侍が切りつけた。
その魔物を正体を見れば、白い大ヒヒだった。*1

七尾のデカ山の縁起でも、猿神が出て来る上に、
人身御供を要求する。

柳田の猿鬼もこの類か。
柳田の地名は、この猿鬼征伐伝説にちなむものが多い。


(太平百物語にも能登に猿神の類が出たという話がある。
 どのような話かは記事を書いている時点では未確認)

*1:『こども石川県史ー民話・物語編ー』

私のための四不語録のタイトルメモ

四不語録の中身を見るに便利な奇談異聞辞典 (ちくま学芸文庫)なのですが、
いかんせん目的の話を見つけるのに骨が折れてしまうので、
ひと通り四不語録のお話を探しやすいようメモいたしました。


女の幽霊羽咋市神子原)
河獺の怪(金沢市柿木畠)
狐火(金沢市 真長寺*1
黒手切り七尾市中島町豊田か豊田町
浄土寺の怪(加賀)
空飛ぶ異人(江戸)
礫打つ怪(羽咋市
天狗(江戸)
鼠の宿替(金沢市新竪町)
野尻湖の怪
不思議の笛太鼓(中能登町曽祢)
古猫の怪(筑後
蛇と蛞蝓(能登
牡丹畠の怪(輪島市門前町道下から大沢町の間)
妖怪話声(江戸)
雷と蜥蜴(福井県大野市
龍燈(富来町大福寺)

以上

奇談異聞辞典 (ちくま学芸文庫)

奇談異聞辞典 (ちくま学芸文庫)

【関連】
『四不語録』のこと - 雨乞山には夕日が沈んで

*1:現在は野町にある

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