雨乞山には夕日が沈んで

細く長く、地元の昔話を読んだり実際に見に行ったりしています

伊久留のこと

「いくろ」と読む。
能登に伊久留という地名は2ヶ所存在する。
旧鳳至郡穴水町伊久留(現鳳珠郡穴水町伊久留)と旧鹿島郡田鶴浜町伊久留(現七尾市伊久留)*1

長家文献集に、長連龍の家来として「伊久留了意」なる人物の記録がある。
現在の穴水町が本領であり、その後田鶴浜領有した長氏の家来なので、
穴水が先で田鶴浜が後かと思ったが、
どちらの「伊久留」が先にあったのかははっきりしていないようだ。*2

*1:かつては相馬村の一部だったりして、どこまで遡ったものか

*2:旧相馬村に当たる地域が出した本にはそうあったが、その後わかったかどうかはまだ確認できていない

能登郡のこと

かつての鹿島郡のことである。
元の名は「能登郡」であったが、中世に「鹿島郡」に改めた。*1
現在の鹿島郡中能登町七尾市(旧鉈打村は除く)、羽咋市鹿島路・余喜(旧鹿島路村・余喜村)が該当する。

『長氏文献集』を見ていたら、連龍公の記録の途中に「能登郡」という表記があった。
近代にまとめられたものであるので、古めかしく格好をつけてみたのか、
元になった文献にその表記があったのか、
もしくはその時代ぐらいまでは地元でまだ「能登郡」の呼び名が残っていたのか、気になる所*2

*1:承久三年の文章ではそうなっていた模様

*2:57ページ上段

河童のこと③

前回と前々回
河童のこと - 雨乞山には夕日が沈んで
河童のこと② - 雨乞山には夕日が沈んで

年末年始で帰省したので祖父から聞いたことを。
祖父は笠師地区の生まれである。

  • 河童の類の話はあるのか?

そもそもあまり数が無いよう。
川はあるが、比較的小さな川だったせいか、あまり聞いたことがないとのこと。
川ではそういう話は聞かなかったが、海の方や堤のほうでそういう話を聞いたという。

  • どんな話があるのか?

そもそも数が無いせいか、詫証文だの相撲だのの話は聞いたことがないとのこと。
キュウリを持って水遊びに出るといたずらされる、というような話ばかりを聞いたとのこと。

  • 呼び方のこと

祖父は「みそし」でも「みずし」でもなく、「みそず」という名前で聞いたそうだ。
他の郷土史の本等で見たことのない呼称だが、同じ系統の呼び方とみられる。

龍灯のこと

竜燈、龍燈、竜灯等の表記もある。
怪火の一種である。*1魑魅魍魎類の類ではなく、神仏が化現する時に現れる。

加賀能登の至る所に話は残っているが、
文章だと『四不語録』に富来の大福寺に現れたという話が残る。
石川・富山 ふるさとの民話』にて同じ話を現代語で読むことができる。

*1:要は火の玉の一種である。

そうはちぼんのこと

羽咋市に出たという記録が残る未確認飛行物体のこと。
光る円盤のようなものであったため、
怪火の一種とも分類されている。
羽咋市の「UFO」による町おこしはこの伝説と氣多大社の縁起による。

石川県各地に伝承が残る龍燈の一種のような気もするが、
UFOなんだったらそうなんだったら。*1

*1:気多縁起にしろ「空飛ぶ何か」みたいな書き方だった。UFOと閃いた当時の青年会だったかの人に「うまくこじつけたなぁ」と関心した覚えがある

河童のこと②

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郷土史の本を読んできたので。
地元の本ばかり読んできたので、私のふるさとである鹿島郡中島町だった所ばかりである。

  • 呼称のこと

「みそし」「みずし」が混同し、「みそし」の方が古い。*1
「カッパ」系統の呼び方はされていなかったようだ。*2

  • お話が残っている場所

上町
小牧
土川(ユノカミ)
豊田
鉈打
笠師(ソウベエの湯の下)
瀬嵐(海にも出たらしい)
藤の瀬

  •  

大体、お礼に持ってくる魚は臭くて食べられたものじゃなかったらしい。
上町の河童は、いたずらしたというお話と、
河童を食らう大蛇を退治してくれと怪力の持ち主に依頼するお話の2種類がある。
お礼はやはり河童の妙薬である。

*1:室木弥太郎『鹿島郡中島町のミソシ(河童)』加能民俗4の3

*2:ハリー・ポッターシリーズだとkappaって書かれてた。やっぱりWaterImpなんてざっぱな括り使うべきじゃないんですね