雨乞山には夕日が沈んで

わたくしのふるさとってこんなおはなしがあるところ

かわうそのこと②

「作物荒らすの何だろね?」という会話をしていたら、
ひょっこり祖母から出てきたうちの曽祖父のかわうそ体験談である。

大して怖くはない部類の妖怪譚ではないかしら?

昔々、たぶんきっとまだ明治の頃。
末っ子長男で跡継ぎだった曽祖父は、
お姉さんの結婚式に参加するためにお姉さんの嫁ぎ先へと行きました。
お姉さんの嫁ぎ先はお山を一つか二つか越えたあたりで、
今でも1~2時間ほどで歩いていけるけれども、
少しばかり人気のない薄暗い山道を通らないと行けないような地区です。


日が暮れるような頃に結婚式の宴席も終わりまして、
曽祖父はその日のうちに引き出物を担いで家に帰ることとしました。
暗い夜道、しかも山道を歩いている辺りになにやら背中が少しうるさいような気もしたそうですが、
人気がない山道とはいえ木々がざわめいたりして静かではないことはオカシイことではないのでさっさと家に帰ることにしたそうです。


で、家に帰って引き出物を見てみると、食べ物が食い荒らされていました。
どうも山道を通った時にカワウソに化かされてごちそうを取られていたとのことです。
あぁ、せっかくの美味しいご飯が惜しいこと。


祖母が「最近、かわうそが出たとか聞かないね」とか言い出すし、
「昔はこの辺でもニホンカワウソよく見かけたのかしら?」とか思ってたら話す内容がこんなのだし、
なんかもうだいぶボケてきちゃったのかしら?とか孫はすこしばかり憂鬱です。


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